改憲vs護憲を超えて

憲法改正の流れが現実的になった時に、建設的な議論ができますように

2016年参院選で与党を破る方法〜安保法制を争点にするな・労働問題で闘え〜

「1強多弱」の早期打開のために必要なことは何か、と考えると、まず来年の参院選で大勝し、ねじれに持ち込み、衆院選でも勝つ、ということになるだろう。

では、どうすれば勝てるのか。

 

大切なのは、「安保法制」が争点になったら、野党は勝てない、と認めることだ。

 

世論調査の結果を見る限り、安保法制反対派は世論の半数か、それをちょっと上回る程度。

2014年衆院選では、与党の得票率が50%弱。でも与党の大勝。

もし、世論調査の結果がそのまま選挙結果に反映されれば、選挙方法の違いを最大限考慮しても、与党が少し減るだけ、くらいで終わるのではないだろうか。ねじれに持ち込むことはできない。

「得票数では勝ってる!」「与党の議席を減らした!」くらいで喜んでいては、未来はないだろう。

 

さらに、現実には、投票に行くのはせいぜい全体の2/3程度。政治にあまり興味はない(投票にはいかないかも)けれど、何となく戦争嫌だな〜と思って「安保法制反対」と言っている人たちの人数は、何となく中国の脅威が嫌だな〜と思って「安保法制賛成」と言っている人たちの人数よりもかなり多いのではないかと思っている。

 

それに、争点は安保法制だけではない。「安保法制にはちょっと疑問だけど、それより、他の党に入れようがないよね」「安保法制にはちょっと疑問だけど、アベノミクスには期待してる」「安保法制にはちょっと疑問だけど、外交的にはある程度強気じゃないとね」という人たちも(おそらく大勢)いることに気をつけなければならない。

安保法制への反対が、そのまま、野党への票に結びつくわけではないのである。

 

前にも言ったが、今回国会前で訴えたことをまた訴えても、もう反自民の輪はそんなに広がらない。もう十分に広がった。これだけ話題になって、たしかに広がったけれど、でもこの程度、というのが現実なのだ。

 

むしろ、勝ちたいなら、安保法制は二番手、三番手の争点に持ってきてはどうだろうか。

 

今の日本国民にとって一番の関心事は、改憲護憲かではなく、中国の脅威云々でもなく、おそらくテロの脅威云々でもなく、労働の問題ではないだろうか。

少なくとも、安保法制よりも派遣法改正の問題を追及するのが優先ではないだろうか。

いや、労働問題については、派遣の方々の暮らしだけが困難に陥っているわけではない。正社員でもブラック企業サービス残業、そもそも労働基準法が遵守されていない。そんな状況に安倍内閣は何ができただろうか?

選挙で勝つ負けるどうこうの問題ではない。国民にとっての目下の一番の脅威は、国内の反動主義者でもなく、中国でもISでもなく、米軍でも原発でもなく、(いや、それらも全て脅威なのだが)、労働基準法を守らない阿呆なのだ。そのせいで死んだ国民の人数など、正確には把握できないが、他の諸脅威よりも多大な犠牲を国民に強いているのが「労働」だろう。そこをどうにもできないのが与党である(できるのであれば、とっくにしているだろう。それができればとてつもない支持を受けて、あっという間に改憲まで漕ぎ付けることができる)。逆に言えば、国民の生活に関わるそこを最大の争点にして勝てないのなら、野党の意味はない。

 

というわけで、

 

労働基準法を遵守できる国を!」

 

これを最大の旗印にして、具体的なチェック体制の改善や罰則規定などを挙げて選挙に打って出れば良い。もちろん、勝った暁にはそれを実行すれば良い。

そして、「派遣法改正の追及」を第二に据えて、それから「安保法制」「原発再稼働」「基地問題」など、いずれも国民の命に関わる大問題を、どんどん挙げていけばいい。

 

おそらく、野党再編が話題に出ているが、一般の自民党議員よりもリベラルな議員であれば、この目標ならば一致できるのではないだろうか。

さらに、無党派層だけでなく、自民党支持層の中のリベラル派(自民を支持してきたが安倍首相のやり方にはちょっと・・・という人たち)や、公明党支持層の一部(今の公明党は人権や平和を大切にする創価学会の理念と照らし合わせて疑問だ・・・という人たち)にも、訴えかけることができるのではないだろうか。

 

というわけで、今回の結論は、こうだ。

今度の選挙の争点は、「護憲」よりも「労働基準法遵守」を。