改憲vs護憲を超えて

憲法改正の流れが現実的になった時に、建設的な議論ができますように

「歯舞読めない」は揚げ足取りか

漢字の読み方についての報道として、

麻生首相(当時)が「未曾有」を「みぞうゆう」と読んだ

②宮沢経産相(当時)が「川内」を「せんだい」と読んだ

③島尻沖縄北方担当相が「歯舞」を「はぼ」までしか読めなかった

などといったことが取りざたされてきた。

それに対して、マスゴミの揚げ足取りだ、という非難があったりする。

 

どこまでがきちんとした批判で、どこからが揚げ足取りなのか、というのは、結局は個人の感覚なのかもしれないが、その立場に置かれた政治家としての資質に関わるかどうかという観点から見て、私個人としては、

①は揚げ足取り(読み方違いますよ、と指摘すれば良いレベル)

②③は揚げ足取りではない(資質を問うべきレベル)

と思っている。

 

漢字の読み間違いくらい、誰しもある。

私も、読み方、書き方を間違って覚えていて恥ずかしい思いをしたことがあるので、麻生元首相の気持ちはよくわかる。もちろん、それが多すぎると、あまり教養がないのではないか、という疑念が生じで、一国の首相としてやや恥ずかしいかもしれないが、せいぜいそのレベルの話であって、何度も取り上げたり資質を問うたりする必要はないのではないか、と当時は感じたし、今でもそう思っている。

(ただし、ここには若干、私自身が漢字の間違いをしばしば犯すことからの麻生氏への同情・共感も入っているかもしれない)

 

一方、エネルギー問題に取り組むべき経産相が「川内」を「かわうち」と読む、とか、北方領土問題の啓発などに携わるべき沖縄北方担当相が「歯舞」を読めない、とかいうのは、単なる漢字力の低さ、地名を知らない無知さ、などといった問題では済まされない。

原発問題に関心が高ければ「川内原発」を知らないわけがなく、話題にすることがないわけがなく、「かわうち」とは呼びようがない。北方領土問題に関心が高ければ「歯舞群島」を知らないわけがなく、話題にすることがないわけがなく、「はぼ・・・」とはなりようがない。

言うまでもなく「川内(せんだい)」も「歯舞(はぼまい)」も難読地名なので、関心が低ければ、正しく読むのは困難だ。

結局のところ、「川内が読めない」「歯舞が読めない」という批判は、漢字能力の欠如を追及する批判ではなく、関心の低さを追及する批判になる。「未曾有(みぞうゆう)」とは次元が違うのである。