改憲vs護憲を超えて

憲法改正の流れが現実的になった時に、建設的な議論ができますように

「サヨクは金持ちの道楽」論について

私が以前書いた記事(今、労働問題を争点にしなければならない理由〜「外交右派・経済左派」の脅威〜 - 改憲vs護憲を超えて)が、Twitterで批判的に言及されており、アクセス数が増えていた。

批判的見解をなるべく探そうと試みた中で、とりあえず、最も手厳しいものを挙げると、以下のようなものがある(もちろんTwitterなので下から上に時系列順に並ぶ)。

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まずは批判をありがたく受け止めたい。

 

ここで大切なことは、私のあの記事が、「金持ちの道楽」の象徴であるかのように見られてしまったことだ。

「私は金持ちじゃないし、道楽でなく真剣に考えている」みたいな反論をすることに、全く意味がないことはいうまでもない。

救われなければならない水準の生活をしている人々から見れば、同世代で平均くらいの稼ぎのある私は「金持ち」だ。

私がいくら真剣に考えていると言ったところで、別に、救われなければならない水準の生活をしている人々がこのまま救われなくても、私はこのまま救われ続けているであろう。所詮は暇だからやってるんだろ、と言われたら、それに100%反論できるわけではない(左右見渡して、それができる中流階級の人間がいるのか、疑問ではあるが)。

「お前に労働者が救えるか(救えない)」という批判などは、もちろん腹が立つものではあるが、「金持ちの道楽気分で労働者の味方であるような主張をしている限り、労働者は救われないんだ」という批判だと思えば、その批判の意味がわかるだろう。

 

ただ、私は、政治家になるつもりもなければ、運動家になるつもりもない。生活水準を落として彼らの気持ちから始めよう、という覚悟もない。今携わっている活動については、ここでは一切述べるつもりはないが、少なくともこのブログでは、ただ机上の空論を投げかけるだけに徹するつもりである。

すなわち、労働問題について私が願うのは、

・労働者の人権が守られる社会(ブラック企業撲滅、労働基準法遵守、・・・)

・貧困が今より少ない社会(格差の是正、セーフティネットの改善、・・・)

ということである。

要するに、このことを旗印にできる政党、政権を取ったら上記の社会を作るべく政策を実行できる政党を求める一有権者としてあれこれ言っているのである。

実際に私は貧困者ではない。現在の職場で労働基準法は守られていないが、ブラックと言うほどでもない環境で働いている。そんな人間が、あれこれ理屈をこねてサヨク的言説をここで叫んでも、所詮は「金持ちの道楽」なのだ、と言われるのであれば、「そうですね、すみません」としか言いようがない。

 

ただ、私は、声を大にして言いたいことがある。

 

「金持ちの道楽」だから「左翼は労働者から支持を得られない」というのであれば、おそらく左翼は滅びゆく、という結果が待っているだけだろう。だから、あなた方がそんな左翼を嫌っているのなら、私たち左翼に対して、どうぞ「金持ちの道楽」に徹していてください、それで滅んでください、と言ってくれればいい。

しかし、Twitter上で私のあの記事に言及して批判してくださった方や、多くの「政治右派・経済左派」の人たちを中心とするアンチ左翼の論者たちが、そのような形で左翼の欠点を洗い出して、やや腹が立つ表現が多いものの、建設的に批判してくれている。私たちにとって、なんとありがたいことか。

それならば、批判された私たちリベラル・左翼・護憲が、それにどう答えるか、が肝心なのだ。

残念ながら、これから「リベラル・左翼・護憲」というカテゴリの人間だけで労働者を救える見込みはない。少数派すぎるからだ。

では、「政治右派・経済左派」が「政治右派・経済右派」に単独で打ち勝てるのか。

私はそれも疑問だ。ポピュリズムに強く訴えることで可能になるかもしれないが、その危険性は彼らもよくわかっているだろう。

ならば、労働者を救うためには、その論点においてだけでも、手を携えるしかないのではなかろうか。

もちろん、「リベラル・左翼・護憲」の叫ぶ労働者擁護は、あなた方から見れば、「金持ちの道楽」と言いたくなることかもしれない。しかし、それでも、労働問題を問題として捉え、少しでも良くしようという気持ちの表れである。

まずは、例えば、せめて労働基準法が遵守される日本や、セーフティネットのもっと充実した日本を、ともに作ることから始めてはどうか。

その論点についてであれば、ある程度は共闘可能であろう。

その後で袂を分かって、その他の問題について激論を交わせばいい。

あなた方は私たちのことが嫌いでしょう。それでいい。でも、好き嫌いよりも優先しなければいけないことがある。

どうぞ、私を「金持ちの道楽」と非難してください。所詮、「金持ちの道楽」ですから。でも、「金持ちの道楽」でも、労働問題について同じ方向性を向くことは可能だ、ということを忘れないでほしい。

 

それは、同時にリベラル・左翼・護憲」を標榜する私の同志たちにも言いたいことである。

生き残りたいなら、私たちを「金持ちの道楽」と罵る彼らと手を携えて、まずは労働問題に取り組むことだ。

だって、憲法云々より、安全保障云々より、一番の危急の問題は、労働問題だろう。